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遺体修復士の備忘録

2025.03.26 アニメ・特撮ヒーローから鑑みたグリーフのコラム

【シリーズ第3弾】『銀河鉄道999』に学ぶ、「限りある命」の尊さ

― 永遠の命を拒み、旅の果てに見つけた“生きる意味” ―

『銀河鉄道999』は、星野鉄郎という少年が「機械の体=永遠の命」を求めて旅に出る物語です。

しかしその旅の果てで、鉄郎は「限りある命」の尊さに気づき、自ら選び取ります。

この選択は、まさに終末期ケアやグリーフケアに関わる私たちが日々向き合う「命の意味」と深く重なります。


1. 不死への憧れ──鉄郎の出発点

幼い鉄郎は、母を機械伯爵に殺され、「強さ」や「永遠の命」に強い憧れを抱いて旅に出ます。

“機械の体”は死を克服する究極の手段に思えますが、それは「死を恐れる気持ち」の裏返しでもあります。

現代においても、延命治療やアンチエイジングへの依存は、死を否定したい心の現れと見ることができます。


2. 出会いと別れが教える、命の価値

旅の途中、鉄郎は数々の人と出会い、別れ、喪失を経験します。

  • 山賊アンタレスの自己犠牲
  • 大山トチローの母の優しさ
  • メーテルの秘密と別離

その一つひとつが、「命は限られているからこそ、かけがえのないもの」ということを教えてくれます。


3. メーテルの正体と慈しみ

メーテルの正体は、機械帝国の使者。鉄郎を機械化へ導く役割を担っていました。

しかし、彼女は最後まで鉄郎に「選ぶ自由」を与えました。

その選択の果てに待っていたのは、別れ──死別にも似た喪失体験

ここに、グリーフケアで大切にされる「大切な人との別れを受け入れる」プロセスが重なります。


4. 「宇宙の弥七」ことキャプテン・ハーロックの登場

『銀河鉄道999』の物語を語る上で欠かせないのが、宇宙海賊キャプテン・ハーロック

彼はピンチのときに現れ、黙って助けて去っていく、まさに「宇宙の風車の弥七」。

「男なら戦わなくてはならない時がある。死ぬと分かっていても行かなければならない時が」

この言葉には、命の使い方、信念のために生きる覚悟が詰まっています。

このような存在がいたからこそ、哲郎は“限りある命”を選ぶ覚悟を持てたのかもしれません。


5. 哲郎が選んだ「限りある命」の意味

旅の果て、哲郎は「機械の体」を拒み、人間のまま地球に帰ることを決意します。

永遠の命ではなく、「終わりがあるからこそ命は美しい」という真理に気づいたのです。

それは、終末期ケアの現場でたびたび語られる「人生の最期をどう生きるか」という問いそのものです。


まとめ:「死があるから、生が輝く」

『銀河鉄道999』は、死を否定する物語ではありません。

むしろ、限りある命を抱きしめて、精一杯生きることの大切さを、哲郎の旅を通じて私たちに教えてくれます。

大切な人と出会い、別れ、想いを受け継ぎながら進む旅。
それこそが、「生きる」ということなのかもしれません。


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このブログシリーズが、誰かの心の旅路にそっと寄り添えますように。