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遺体修復士の備忘録

2025.04.21 人間心理の深層

【人はなぜ問題から逃げるのか】寿命には締め切りがあるという話

人は、心が弱ったときに、スピリチュアルに救いを求めることがあります。
それ自体を私は否定するつもりはありません。
けれど、現実から目を背ける手段としてスピリチュアルを使うのは、
結果的に自分をもっと苦しめることになる。
そんな体験を、私は一度、間近で見たことがあります。


■ 相談を受けたある人の話

その人は、眠れないことに悩んでいました。
「頭の中で、シンシンという音がする」と訴えます。

私は心理カウンセラーの資格を持っていたため、

  • まず病歴を確認し、
  • バイタルチェックで身体に問題がないかを確かめました。
  • すでにかかりつけの内科で眠剤も処方されていることを確認しました。

身体に大きな問題はない。
けれど、「なぜ眠れないのか」という本質的な悩みは、未解決のままでした。


■ 問題を「可視化」するという提案

私は彼に提案しました。

「悩みを紙に書き出して、可視化してみましょう。
問題を、解決できるものと、できないものに分けましょう。」

人間の悩みの8割は、自分以外の要素から生まれるものです。
つまり、努力しても解決できないことに苦しんでいる場合がほとんど。
それなら、最初から「解決できること」だけに集中した方がいい。
そう伝えました。

相談者は実際に紙に書き出し、問題に取り組みました。
しかし――


■ 重すぎる現実と逃避

可視化してみた結果、
彼の人生に積み重なっていた未解決の問題が、はっきりと浮かび上がりました。
逃げていた現実、見ないふりをしていた責任。

それは、彼にとって想像以上に重たいものでした。

結果、彼はそれらに真正面から向き合うことができず、
怪しげな新興宗教に救いを求める道を選びました。


■ 一見、明るくなったように見えたが

宗教に頼るようになった彼は、
一見、以前より明るくなったように見えました。

しかし、現実は何も変わっていませんでした。
未解決の問題は、そのまま積み残されたままだったのです。

そして――
彼はその後、心不全で急死しました。
享年76歳。


■ 命には、締め切りがある

この出来事を通して、私は改めて痛感しました。

人間の命には、限りがある。
悩みを、問題を、
「いつか向き合おう」
「いずれ何とかしよう」
と後回しにしているうちに、
その「いずれ」は、突然終わることがある。

問題を放置したまま、命のリミットが来ることも、あるのです。


【まとめ】

悩みを可視化することは、時にとても苦しい作業です。
現実を直視することは、痛みを伴います。

でも、

  • 見ないふりをしても問題は消えない。
  • 現実逃避をしても、心は軽くならない。
  • 寿命だけは、確実に減っていく。

だから私は、こう思います。

「怖くても、できる限り、今向き合おう。」
それが、自分の命を、少しでも納得して生きるための唯一の道なのだと。