• カテゴリ

  • キーワードで探す

遺体修復士の備忘録

2022.01.27 終焉の歴史を紐解く

おんぼ焼きと火葬都市伝説

【実話?都市伝説?】火葬中にご遺体が起き上がる!? 〜おんぼ焼きとスルメ現象の真相〜

こんにちは、遺体修復士のエンゼル佐藤です。
今日は少し不気味で、でもどこか懐かしい——そんな“昔話”をご紹介します。
ホラー好きの方、火葬に関する都市伝説が気になる方、必見です。

■「おんぼ焼き」とは? 〜公営火葬場が無かった時代の葬送文化〜

時は戦中〜戦後直後。
まだ公営の火葬場が整備されていなかった時代、各集落では「露天火葬」が一般的だったのだそうです。

集落の若い衆が2〜3人で「火葬担当」となり、日が暮れる頃にご遺体を薪の上に安置、点火。
その晩は酒を飲みながら、静かに“終の晩”を過ごす……それを地元では「おんぼ焼き」と呼んでいました。

ちなみにこの「おんぼ」とは、かつて火葬や墓守を担っていた「隠亡(おんぼう)」が語源。
江戸時代には下級の僧侶がこの役割を担っていたとも言われています。

■火葬中にご遺体が「起き上がる」!? 衝撃の怪奇現象

さて、ここからが本題です。

ある晩、若い衆がいつものようにお酒を飲みつつ、火葬の番をしていた時のこと。
夜も更け、棺の中まで火が回った頃、突如として「事件」は起きたのです。

「ガタッ!!」
「うわあああ!! 仏さんが起き上がった!!!」

そう、ご遺体が棺の蓋を突き破り、まるでゾンビのようにむっくりと上半身を起こしたというのです。
若い衆はパニック状態、酒瓶を放り投げて一目散に逃げ去ったとか……。

■それって本当に起こるの?都市伝説の裏にある真実

こうした話、全国各地に「火葬中にご遺体が起き上がった」「棺の中で暴れた」「火掻き棒(バッタ棒)で叩いた」など、バリエーション違いで語られています。

ですが、結論から言えば——

ご遺体が起き上がることは、絶対にありません。

火葬炉の中を何度も見てきた私自身、そんな現象は一度たりとも目にしていませんし、火葬師さんにも確認済みです。

火葬師さんいわく:

「もし仏さんが起き上がったら、即退職して逃げるよ(笑)」

……そりゃそうですよね。

■でも“ある部分だけ”は動く!?「ボクサーポーズ現象」とは

ただし、ご遺体の“ある部位”が動くのは事実です。
それは——両腕

火が回り筋肉が収縮すると、両腕が胸の前で折れ曲がり、ボクサーのファイティングポーズのようになる現象が起きます。
医学的には、焼死体や火葬時の熱収縮による自然現象です。

火葬が始まって30分ほど、全身に火が回る頃にこの動きが見られることがあります。
この腕の動きを見て「起き上がった」と誤認した可能性はあるかもしれませんね。

■「ご遺体がスルメみたいに反る」説のナゾ

もう一つよく語られるのが、

「火にかけるとご遺体がスルメみたいに反るんだよ」

という話。ですが、これも誤解です。

スルメが反るのは、片側にだけ皮があり、熱で収縮差が生じるから。
一方で、ご遺体には全身まんべんなく皮膚があります。
なので、あの“クルクル反り返る”現象とはまったく別物なんですね。

■火葬のリアルを知りたい人へ:「Cremation」で検索!

「本当に起き上がらないの?」「実際の火葬ってどんな感じ?」と思った方は、英語で「Cremation」と検索してみてください。
海外では火葬の映像を公開している例もあり、記録映像が数多くヒットします。

※苦手な方は閲覧注意です。

■今も残る「露天火葬」の文化

現代の日本では法律により露天火葬は禁止されていますが、世界を見渡せば今もその風習が残る地域があります。

たとえば、ネパールのパシュパティナート寺院
ここでは今なお、バグマティ川の河岸で露天火葬が行われており、観光客も見学可能です。

火葬後のお骨は、そのまま川へと流され、聖なる河に還るのです。

■まとめ:怪談のようでリアルな火葬文化の話

今回の「おんぼ焼き」と「起き上がるご遺体」の話。
真偽はさておき、かつての人々がどんな思いで火葬の夜を過ごしていたのか——
そこに思いを馳せると、ただのホラー話ではなく、切なさと人間らしさを感じずにはいられません。

そして、私たち現代人が当たり前と思っている“火葬のかたち”も、実はごく最近のもの。
葬送文化の変遷を知ることは、命や死と向き合う大切な一歩かもしれませんね。

★遺体修復士・エンゼル佐藤でした!
今後も“遺体のリアル”をやさしく、ちょっと面白く、たまに怖く語っていきます。
よければフォロー&シェアお願いします♪