2022.02.5 カルテに書けない事件簿
【実録】ご飯は食べてません!……うどんは食べました。〜検査前あるある“うどん論法”〜

それは、私が消化器外科外来で問診していたときに起きた、ちょっと笑える珍事件。
検査前の“絶食”指示をめぐって飛び出した、名(迷)セリフをご紹介します。
胃カメラ検査を控えたご婦人とのやりとり
本日の患者さんは、後期高齢になろうかという上品なご婦人。
先週、胃の不快感で受診され、本日は再来での検査日。予定は胃部レントゲンと胃カメラのダブル検査。
検査前の問診と説明を丁寧に行っていたときのことです。
「では、〇〇さん、これからレントゲンを撮りますね」
「はい、よろしくお願いします」「そのあとに胃カメラもあります。今日はご飯は食べずに来ましたよね?」
「はい!ご飯を食べるなっていうから、今朝はうどんにしてきました♪」
えっ……!?
いやいや、ご飯の話じゃなくて、絶食の話なんですってば!!
まさかの「うどん論法」発動!
「ご飯=お米」だから「うどん(小麦)はセーフ」――という解釈。
これはある意味、言葉を素直に受け取りすぎたゆえの奇跡の解釈です。
こういう場面、医療者としては思わず固まりそうになりますが、もちろん笑顔で再説明いたします。
言葉って、伝わるようで伝わらない
「ご飯は食べるな」と伝えると、
「じゃあパンは?うどんは?」と、“すき間”を探し始めるのは、高齢者あるあるのひとつ。
この日は、うどんでした。
まさに「うどん論法、ここに健在!」です。
まとめ|食べてない。でも食べた。心は空腹にあらず
「ご飯は食べてません」
――でも「うどんは食べました」
患者さんの“素直な誤解”に、思わず笑みがこぼれる外来の現場。
今日も、言葉と笑いに満ちた診察室からお届けします。
うどん、それは日本人の心。
そして時に、検査前の刺客。