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遺体修復士の備忘録

2025.03.24 エンゼルケアにおける事例

【葬儀社スタッフ必見】感染症予防の基本「スタンダードプリコーション」とは?

葬儀のお仕事では、故人様やご遺族と近い距離で関わることが多く、感染症予防の知識と対策はとても重要です。今回は、医療・介護現場で基本とされている「スタンダードプリコーション(標準予防策)」について、葬儀社スタッフ向けにわかりやすく解説します。

スタンダードプリコーションとは?

スタンダードプリコーションとは、「感染症の有無にかかわらず、すべての人が感染の可能性を持つ」と考えて対応する感染予防策のことです。

医療や介護の現場では当然のように行われている対策ですが、実は葬儀の現場でも必須です。ご遺体の取り扱いやご遺族との接触時にこの考え方を実践することで、自分自身だけでなく、同僚やご遺族、社会全体を感染から守ることができます。

海外では「医療従事者と同等」と見なされる葬儀従事者

欧米などの先進国では、葬儀社のスタッフは「遺体に直接関わる専門職」として、医療従事者と同じレベルの感染対策と倫理的責任を担う存在とされています。

  • 遺体衛生保全(エンバーミング)の専門教育
  • 感染症のリスクと対処法に関する知識の習得
  • PPE(個人防護具)の使用法のトレーニング

これらの背景には、「故人の尊厳と、安全な環境は両立できる」という強い信念があります。

「素手=敬意」ではないという新しい常識

「素手でご遺体に触れることが敬意を表す」と考える方もいらっしゃいますが、それは現代の感染症リスクに対しては誤った認識です。

清潔な手袋を着用して、丁寧に故人に接することは、むしろ高度な知識と配慮に基づく、プロフェッショナルな行動です。尊厳とは、形ではなく「心を込めた正しい行い」によって示されるものです。

主な対策内容(葬儀現場で活かせるポイント)

  • 手指衛生の徹底:作業前後や体液・分泌物に触れた後は、必ず手洗いやアルコール消毒を行いましょう。
  • 個人防護具(PPE)の着用:マスク、手袋、ガウン、アイガードなどを必要に応じて使用しましょう。
    ※手袋の着用は「失礼」ではなく、「敬意」です。
  • ご遺体や器具の取り扱い:常に感染の可能性を想定し、丁寧かつ衛生的に対応します。
  • リネン類の管理:使用済みと清潔なリネンを分け、洗濯や廃棄時も手袋を着用しましょう。
  • 咳やくしゃみのエチケット:自分もご遺族も、咳がある場合はマスク着用。咳やくしゃみの後は手指衛生を行いましょう。

感染の可能性があるものとは?

以下のような湿った体の分泌物には注意が必要です:

  • 血液
  • 唾液・鼻水などの体液
  • 尿や便
  • 傷口からの分泌物
  • 粘膜(目・口・鼻など)

※ただし「汗」は例外とされています。

距離をとることも感染予防

待合室などでは、咳やくしゃみのある方と1メートル以上の距離を取るように心がけましょう。

まとめ:尊厳とは、清潔と配慮をもって示すもの

スタンダードプリコーションは、すべての人を対象にした感染予防の考え方です。
「素手で触れる=敬意」ではなく、「正しい知識と行動で故人と周囲を守る」ことが、本当の尊厳です。

私たち葬儀従事者も、ケアを提供する専門職(ケアプロバイダー)として誇りを持ち、安全で安心な葬送の場を守っていきましょう。