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ご遺体のお医者さん

2022.01.27 コラム

ご遺体が起き上がった~❢?

こんにちは、遺体感染管理士のエンゼル佐藤です。
さて、タイトルの件。

随分と昔に舅さんから何度か聞かされたお話。

公営の火葬場が出来る前は、各集落コミュニティー内でご遺体は露天火葬をしていたのだそう。
(時代背景はおそらくは、戦中あるいは戦後直後)
集落の若い衆が2~3人で火葬担当をして、夕方からお酒を飲みながら終の晩をしていたとか。
それを おんぼ焼 って言ってましたね。
映画「火垂るの墓」を観た人なら、妹の節子の亡骸を兄が荼毘に付すシーンを知っていますよね?
薪を積んでその上に棺を乗せて点火。

お酒でも飲んでいないとやりきなかったのでしょうね。

夜も更けて、棺の中まで火力が及んだ頃に事件は起きたのである。
なんと!ご遺体が起き上がったのだとか!!
棺の蓋をぶち破り、仏さんが起き上がった!

若い衆は一目散に逃げだしたのだとか。

あ~~待て待て、ご遺体がスルメみたいに反り返ったとか、起き上がったとかってたまに語りだす講釈師がぁ。
講談にあるでしょ?

″講釈師、見て来た様な嘘を言い”

まさに、それ。

別に舅さんが見て来た訳でも無くて、それが何処の火葬場で誰の火葬で誰が終番だったのかも定かでは無いお話。
別のコラムでも言いましたけど、真実って実に面白くないのですよ。

この手の話は結構、沢山あって都市伝説化してますよね。
起き上がる仏さんを火掻き棒でバタバタと殴るから、あれをバッタ棒と言うんだとか。
棺の中で暴れまわってバタバタいう音がするとか。←ゾンビじゃあるまし

面白いのが共通項目でまるでスルメみたいに反るって事。

七輪でスルメを炙ると、クルクルって反り返りますよね?
ご遺体もああなるのだとか。

いやいや、ご遺体はスルメじゃないのですけど。
スルメは片側にだけ皮があるので、熱で収縮して反る訳で。。。。
ご遺体には全身に皮があるし、なぜそんな解釈になったのか?

実際は?って事で、ここで種明かし。
ご遺体が起きるなんてありません。

事実、私も火葬炉の中は何回も見ていますし火葬夫さんにも聞いた事があります。
笑いながら火葬夫さん曰く。
”もし、仏さんが起き上がったら真っ先に逃げて、俺は速攻で退職するよ″ってね。
そりゃそうでしょね。

言われて私も何度か、覗き窓から見ましたけど大人しく寝ていましたね。
これは私の推測ですが、露天火葬が嫌で逃げた口実にそんな事を言ったのでは?
誰だって嫌なお役目ですよね。
どうしてもスルメだ!ってお疑いの方は火葬は英語で Cremation(クリメーション) と言います。
それで検索してみてください、沢山の火葬の記録映像が見つかりますよ。
私も結構、見ましたけどご遺体が起き上がるシーンはどこにも無いですね。


おんぼ焼、語源は隠亡(おんぼう)

Wikipediaでは隠亡とは日本史上において、火葬場死者の遺体を荼毘に付し、墓地を守る者を指すそうです。
地域で「オンボ」とも呼ぶのでしょうね。
もとは下級階層の僧侶の仕事だったのだとか。

今の日本では露天火葬はありませんが、世界遺産ヒンドゥー教寺院「パシュパティナート(ネパール)」では今でも露天火葬を行っているそうでうよ。
ここは観光地なので、観光客でも見れるのだそうです。

ガンジス川の支流バグマティ川の岸辺に建屋があり、河辺に簡素な火葬場があり日々、薪を積んで亡骸を荼毘に付す様子が見れるそうです。

私がかつて一緒に訪問介護の仕事をした主任看護師が、退職記念の旅行でこの地を訪れて写真を撮影したものを見た事もありました。
火葬が済むと、お骨はそのまま川に投棄。
聖なる河に返るのだとか。

その川で洗濯をしたり、水浴びや食器洗いも。。。。
国が変わると価値観も変わりますよね。

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