2024.05.15 コラム
看取りの専門士がペットの安楽死を経験して
令和6年5月2日、12年間を共にしたメインクーンのメイリン♀を安楽死で送った。
安楽死には賛否があるとは思いますが、自分の下した判断について書き記します。
甲状腺の両側に悪性の腫瘍ができてしまい、リンパ腺や太い血管に浸潤した為か、急速に腫瘍が巨大化してきました。
メインクーンはアメリカのメイン州の地猫で改良された猫ではありません。
ネットで知り合った、ブリーダーの方から譲って頂いた、ご縁のあった猫でもありました。
自分が人生で、おそらく一番に辛い時期を共に過ごしてくれた、まさに心の支えでした。
進行が早く、場所も悪く、手術には不適合と判断され出来る事は放射線治療のみで、余り効果も期待出来ないと獣医師からは説明されたのです。
そもそも、大型で平均寿命が10年くらいと言われている猫でもあり、遺伝的に心臓肥大の疾患になりやすい。
ペットとは、先に逝く命でもある。
看取りは飼い主の責務でもある。
医師からは、この先は腫瘍によって気道や食道が狭窄して辛い状況にしかならないと言われ、後押しする意味での「安楽死」も視野にいれてみるのも選択肢であると言われた。
愛する子の命の選択をする訳であるのだが、苦しい姿を見るのも忍びない。
まだ、主人や私へのお出迎えをしてくれる余力はありましたが、帰る力が無くなり抱っこで、お部屋に。
もう、三日も何も食べていないし飲んでもいない。
最盛期の半分以下に痩せてしまった身体。
背骨も骨盤もゴリゴリで、いつもは私のベッドで寝ている子でしたが、それすら辛くて外の木の葉が積もった柔らかな草や土の上を好んでいました。
きっと、あの柔らかさが体には優しかったのでしょう。
丁度、次男も帰省している最中でもあったので、家族会議で
「もう、限界だよね、、、、」
そう、安楽死の選択をしました。
もう、十分に頑張ったよ。
もう、休もう。
病院に電話連絡をして、夕方に主人と伺いました。
医師の診断では、タイミング的にはもう充分に頑張りましたよと、言われ施術に進む事に。
向かう道中の車内でも、野生は感が良いのか静かに鳴かずにいました。
苦しいのか痛いのか?目じりには涙が滲んで、こちらを見つめています。
「メイリン、もう充分に頑張ったよ、だからもうゆっくり眠ろうね」
前脚にカテーテルが挿入され、医師からこれから麻酔を入れると説明がありました。
「眠る前に声を掛けてあげてくださいね」
そう言われ
「今までありがとう、十分頑張ったよ、ゆっくり休んでね、愛しているよ」
ガリガリの体を摩りながら、麻酔が投薬されてメイリンは深い眠りに入りました。
もう、これでお別れだとの辛さより安らかに眠る顔に、ほっとした気持ちがありました。
「では、心臓を止める薬を入れますね」
医師が、心拍停止の薬を注入すると、数分でメイリンの鼓動が停止しました。
令和6年5月2日午後6時6分
メイリンが永眠しました。
看護師さんがエンゼルケアをしてくださり、持参したピンクのバスタオルに包んで渡して貰った瞬間に主人が堰を切ったように号泣してしまい、何だが自分が一番に悲しいはずが、妙に冷静になってしまいました。
「父が死んだ時より、こんなに悲しく辛いなんて、、、、」
メイリン、貴女はたくさんの事を教えてくれましたよ。
虹の橋の袂で、待っていてくれるよね?