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遺体修復士の備忘録

2025.04.11 グリーフ関連のコラム

社会人ラスボス攻略失敗記:エメラルドウェポンは中間管理職だった


はじめに

「エメラルドウェポンって、ゲームの中にしかいないと思ってたんです。 でも現実世界にもいたんですよ。役所に。」

この物語は、私が公的機関というダンジョンで遭遇した、 “攻略不能型ラスボス・中間管理職”との戦いの記録である。


第1章:中間管理職、現る(レベル∞・自己愛MAX)

私が配属されたのは、某公的機関の“庶務”という名の何でも屋ポジション。 そこに長年鎮座していたのが――中間管理職。 異動なし歴十数年以上。年功序列という名の魔法バリアに包まれていた。

その中間管理職の口癖はこうだ。

「俺がいないと、この課は潰れる。」 「俺、天才だから。」

……いやもう、完全に逆コナンである。 見た目は大人、中身は宿題をやらないまま登校する小学生。


第2章:お局というサポート魔法使い

中間管理職にはお局様という忠実なサポートキャラがいた。 朝の仕事はまず、彼女による「中間管理職上げ上げ時間」で潰れる。

「◯◯ちゃんがいないと、ホントにダメよね~」 「もう、天才すぎて怖いくらい!」

一種の儀式だった。 きっとその場に女神転生の悪魔召喚陣とかあった。


第3章:マニュフェストという時限爆弾

事件は、一本の書類(という名の地雷)から始まった。 中間管理職が共有すべきだった“マニュフェスト”が存在しなかったのだ。

そこには、施設の敷地使用期限に関する協定書が含まれていた。 期限切れを起点に、関係地権者と地獄の大炎上イベントが勃発。

利用者の怒号、議員からの電話、マスコミ襲来、そして―― 精神崩壊コマンド発動。


第4章:他責モード、発動

もちろん中間管理職はこう言った。

「課長がフォローしないからこうなったんだ!」

えっ、ボスなのに? まさかの責任放棄型エメラルドウェポン。 しかも怒るたびにキレ散らかし、MP消費ゼロで無限に復活。


第5章:最終局面(某事件)と私

協定違反の影響で、施設は停止。 委託先で利権トラブルが起き―― ついには重大な事件が発生。

しかも私は、委託先と業務連絡をしていたことから、 事情聴取というサブイベントに強制参加。

ライフはゼロ。 画面はグレー。 でも、誰もセーブしてくれなかった。


第6章:ゲームオーバー、そして解放へ

その後、私は重度のうつ病を発症し、複数回の入退院。 退職を申し出ても、異動願いを出しても、 主治医の診断書を出しても――組織は無視。

ようやく家族が諦め、私の“ログアウト”を許してくれたとき、 私はようやく現実世界のセーブポイントにたどり着いた。


エピローグ:現在地・回復の村にて

私は今、精神科に通いながら障害年金を受給し、 穏やかな生活を取り戻し快癒へのを歩んでいる。 「完治はしないが、寛解はある」と医師に言われた言葉を支えに。

そして、マニュフェストというワードに今でも目眩がするたび、こう思う。

「あの中間管理職、マジでエメラルドウェポンだったな」 「もう、佐藤のライフはゼロよ!!」


おわりに

この記録は、笑いに昇華できるようになるまでの長い戦いの証。 もしあなたの隣にも、ラスボスが潜んでいたら―― 超、逃げて! そして生き延びて。