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ご遺体のお医者さん

2022.01.26 コラム

ペースメーカーで、火葬炉が粉玉砕大爆発!?

こんにちは、遺体感染管理士のエンゼル佐藤です。
はい、中々にショッキングなタイトルです。

医療器具のペースメーカーには電池が使用されていまして、火葬中に爆発する話はよく聞かれます。
しかし、その爆発が大爆発ってレベルで伝わっています。
果たして本当に大爆発するのでしょうか?

まあ、確かに爆発はしますね。
私も火葬炉の裏方で実際に爆発音も聞きましたし、火葬夫さんからもリアルなお話を聞いています。

でも、爆発っていってもは付かない程度です。

最近、YouTubeなどで実際にボタン電池が破裂する実験動画とか、結構アップされていますのでどの程度なのかは検索して調べれば直ぐに分かります。
爆発の程度を伝えるなら、焚火に竹を放り込んで ボンっ! ってなるでしょ?
音とか派手ですし、確かに爆発。
でも、その程度なんですよ。

ネットでペースメーカー爆発で出てくる記事を見てみると、大抵は伝聞とか実際に見た人の話では無くて、誰かに聞いた話がほとんど。
たまに、体験談とかで書かれた話もあるけど、かなり盛ってますね。

火葬場管理上、一応は危険として安全対策上にマニュアルが厳しく書かれているのもあります。
でも、実際は炉が無茶苦茶になるとか、覗き窓が吹っ飛ぶとか、ご遺体がバラバラとかお骨が粉砕とかはありませんね。
いやいや、毎回にペースメーカーが大爆発していたら火葬なんか出来ない話。
そりゃ、多少は影響はあるでしょうけどね、粉砕玉砕大爆発はあり得ません。
(ん~~?どこかで聞いた台詞?)
確かに古い火葬場でペースメーカーが出始めた最初の頃には、知らずに事故案件はあったでしょうね。
それが伝聞されるうちに、伝言ゲームになったのかと思いますよ。

私が関わっていた火葬場ではご遺体にペースメーカーが入っている場合は申告して貰い、火葬中に ボンっ て音を確認するまでは、覗き窓を見ない安全対策をしていました。
手持ち花火の筒を覗かないなんて、子供でも知ってますよね。
実に当たり前のお話。
事実って、実はつまらない事がほとんどでしょうね。
それを誇張して伝わったのでしょう。

では、大爆発って起きないの?
いえね、一度だけ大爆発した事案がありました。

火葬炉大爆発事件

私が関わった火葬炉の大爆発事件はこうでした。
原因は棺に入っていた、日本酒の一升瓶二本。
当時から遺品や副葬品は棺には入れないルールでしたが、故人が大変にお酒好きで、あちらの世で不自由すると気の毒に思った奥さんがこっそりと足元に入れてしまったのだとか。

火葬中に気化したアルコールに引火しての爆発だったみたいです。
それこそ、その時は黒煙が上がり凄まじい爆発音で、覗き窓のガラスも吹き飛んでしまっていました。
後に、台座と炉内壁、覗き窓の修繕工事を行いましたから。

まあ、時に何やらフルーティーな香りがしてきて、祭壇のメロンが入っていたとか、カボチャが生焼けで出てきたとか笑い話のネタが時々はありましたよ。

収骨前に火葬夫さんが焼け残りは綺麗に取り除いて、別に設置しているゴミ焼却炉で処分しています。
火葬炉って足元の火力が弱くなるように作っているので、生ものは残骸が残ってしまうんですよ。

人体って頭の方が重量や水分の多い構造ですからね。

よくよく考えれば、真実は見えてきます。

真実は常に、、、、ゲフンゲフン。