2022.02.5 カルテに書けない事件簿
【実録】問診ジャズ:違う、そうじゃない 〜外来あるある、高齢者問診編〜

それは私が外科外来勤務中に遭遇した、ちょっとシュールで、そして愛おしい“問診事件”。
患者さんの一言で、私の頭の中に流れ始めたのは、あの名曲でした。
本日の患者さんは、ご高齢の紳士
その日、私は外来でいつもどおり問診対応をしていました。
名前を確認し、椅子に座ってもらって、開口一番――
「〇〇さん、今日はどうされましたか?」
するとご本人はニコニコと穏やかにこう答えたのです。
「あ?ああ、今日はバスで来たんだよ」
……あれ?おかしいな。 いや、違う。**そうじゃない。**
♪違う、そうじゃ、そうじゃな〜い〜〜〜〜
私の頭の中で鈴木雅之がリフレインしていたのは、言うまでもありません。
問診の“すれ違い”は日常茶飯事
医療者の「今日はどうされましたか?」=「どんな症状で来られましたか?」
でも患者さんには、「今日はどうやって来ましたか?」と聞かれたように聞こえることも。
いや、そうじゃないんです。
聞きたいのは交通手段じゃなくて、症状です。
でも、言い方ひとつでこんなに違う意味になるんですね。
再チャレンジ!本題へ
気を取り直して、もう一度丁寧に聞きました。
「ええと……今日は、どんな具合が悪くて来られたんですか?」
ようやくそこから、きちんと症状の話に入ることができました。
でも内心ではずっと、
「違う、そうじゃない」がBGMとして流れ続けていたことは、秘密です(笑)
まとめ|会話とは、まるでジャズのように
問診って、まさに“ジャズセッション”みたいなもの。
決まった譜面(定型文)はあっても、即興で対応しないと、すぐに調子がズレてしまう。
でも、そんなズレこそが、時に笑いと優しさを運んでくれる。
今日も外来には、ジャズのようなやり取りが響いています。
患者さんの答えは、いつも“想定外”。
でも、それがいい。