入れ歯の謎

それは私が、とある耳鼻科の外来勤務で起きた事件であった。
一人の男性老人が緊急で受診してきた。
何でも入れ歯を飲み込んでしまって、喉に引っかかっているのだとか。

「先生！苦しい！早く取ってください！」

顔面蒼白で苦しそうなお爺ちゃん。
喉頭鏡で見てみると確かに入れ歯がピコピコと動いている。

鉗子(かんし)で掴んで、無事にお爺ちゃんの入れ歯は捕獲できた。

「いや～、良かったねぇ。飲み込まなくて」
「先生、お陰様で、、、」
ペコペコと頭を下げるお爺ちゃん。

しかし、ここでとある事が。

「しかし、お爺ちゃんこの入れ歯なんだけどね？一体、誰のなの？」
スタッフ一同、唖然！
なんと！お爺ちゃんの口にはちゃんと上下に入れ歯が入っているではないか！
医師に問われてお爺ちゃん、ふじ子る！

「あ、いやそのぉ、、、、それは茶飲み友達の婆さんの、、、、」