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ご遺体のお医者さん

2019.07.26 豆知識

2024年版 ご遺体の口が閉じなくて困った時の対処法!!

こんにちは。遺体感染管理士のエンゼル佐藤です。

ご家族のご葬儀でご遺体の口が閉じなくて困った時に、自分でできる処置について書いてみますね。

無理!遺体に触るなんて絶対に無理!って人はこのまま閉じてくださいね。

まずは頭を上げてみましょう!

大抵の場合、口が開いてしまう原因は枕が低いからです!
もう、これがダントツ一番の原因。

頭が低いから口が開くのです。
頭を高くしましょう。
そうすれば、顎は自然に閉じます。

生前に愛用していた枕とか、葬儀社さんが用意してくれた枕だとか色々と、事情がおありでしょうが枕を高くしましょうね。
コンビニか100均でもいいですし、ご自宅にある新品未使用のタオルとかを折って、厚みを作って頭の下に置いてみてください。
頭を上げると、大抵は自然と口が閉じるのです。
ただし、注意点が一つ。
死後硬直している場合は動かないので、体が柔らかくなったらお試しください。

薄い座布団を枕にして昼寝をしてイビキをかいた事ってありますよね?
つまり、誰でも枕が低いと口が開くんです。

だから、単純に頭をあげましょう。
これで解決するケースは結構多いです。

よく目にするのが葬儀屋さんが持って来るご遺体用の枕。
結構、低いですね。

葬儀屋さんからご遺体の口の件で相談が来ると大体はこの枕を見ます。
なぜこの高さかは不明ですが頭が低くて口が開きます。
頭を上げてあげるとあっけなく閉じたりするので拍子抜けします。

葬儀社さんに
「いつも頭が低いから、あと30度ほど上げてあげるとよいですよ?」
と、アドバイスすると
「え、、、触りたくないんですが、、、」
と、ボソボソと。
葬儀社さんでも、ご遺体に触りたく無い人は結構いますよ。

髪の毛がボサボサの故人様の髪くらい、櫛でといてあげては?
爪が伸びていたら、切ってさしあげては?
など、アドバイスしようものなら
「えっ!俺がやるんっすか!?」
首を横にブンブンと振ってる、そこの一級葬祭デレクターの君に言ってるんだけど?

ご遺体を安置する際は頭を上げて安置しましょう。

お願いするとやってくださる葬儀社さんも増えてきましたが、やはりまだまだ儀式屋のプロなので原因を知らない担当さんが多いです。
口が開くのは物理と科学です!(`・ω・´)。
ご自宅の安置から葬祭場までの移動で、閉じたものが開いてしまうケースも多々あります。
結構、ホールまで訪問する事もしばしば。

葬儀社さんでも、ご遺体に触れたくない方も実はちらほら。
遠くで見てたりするのですよ。
まあ、確かに事故で頭部に外傷とかあると引いちゃいますよね?
私もうっかり、頭を上げようと持ち上げた際に、頭蓋骨が ぐにゃっ って。。。。
あ~~力が抜けちゃうぅーーーー汗って経験もありますよ。

顎の筋肉が緩くて閉まらない場合もあります


高齢者や乳幼児の場合そもそも死後硬直が起こらないケースがあります。

勘違いされるのが死後硬直が筋肉で起きると思われる事。
厳密に言うと筋肉では無く筋肉にある血管の中の血液が固まるのが死後硬直です。

なので筋肉量の少ない乳幼児や高齢者には死後硬直が起きにくいのです。


しかも、死亡する直前まで動いていた筋肉の血管に起こります。

この血液が『融解』と言って緩くなると硬直が解けます。
死後変化の一つでいわば、腐敗が始まった事です。
この場合は頭を上げて口が閉じる事もありますがそれだけでは閉じてくれない場合もあります。

その場合にはハンドタオルを丸めて顎の下にスペーサーとして入れてあげましょう。
どこのお家にもありますよね。誰にでもできる処置です。

枕を高くして頭を上げて顎の下にハンドタオルのスペーサーを入れるだけ。
特別な技術も道具も要りません。

たまに葬儀屋さんがプラスチックでできたスペーサーを使いますが硬くて痛々しいですよね?
顎に痕が付いたり押された部分の皮膚の色が変わったり最悪、皮膚が剥けてしまう事もあります。

柔らかいハンドタオルは肌にも優しいし安価です。
厚みを調整できるしなによりそのまま火葬もできます。
手ごろでコンビニでも売ってますね。

最近は余り見なくなりましたが今でも、エンゼルケアの認識の古い病院や老舗の葬儀屋さんで今も使われている

『顎バンド』
商品名『チンカラー』
スウェーデンで作られたそうです。

しかし、これもNG。
なぜならこれをしていて閉じたケースを見たことが無いからです。
ゴムで伸びる製品なので、顎がびろ~んとね。
そして、ゴムの跡が皮膚に付きます。
その部分が変色して後々、余計な処置が必要になります。
ご遺体を傷めてお金まで掛ってしまう厄介な品です。
セットで手を合掌されるバンドもありますが、無理くり巻き付けて後に両手が浮腫んでパンパンになり、さらに変色までしてくるので、実に痛々しいです。

令和5年の年に縁戚の故人様のお身体に、こいつが、、、、
手がパンパンでした( ;∀;) 痛そうだよ~

私はこれを見るとご遺族に説明してから、了解のもとに即効、外します。
遺族さんも、なんだかおかしいって思いながら、でも専門家がしたんだし。。。
いえいえ、認識がおかしいのですよ。
あなたが違和感を感じて、変だなぁって思うのは実は正しいのです。

思い込みの固定観念とは実に怖いのです。

時々、納棺師さんで
『マウスウォーマー』を使う人を見ます。
私も試した事がありますが上手くいきませんでした。
そもそもこの製品はアメリカの商品で、日本人の体形には合わないかと。
既に形が出来ているのでオーダーメイドみたいにはいかないのです。
どこか違和感があり口元も綺麗に見えません。

入れ歯が入っていないので、口がすぼんでいる場合


さて、入れ歯の問題。

亡くなる直前まで着けていた入れ歯で死後硬直が来る前ならば入る事もあります。
入れ歯が入れば大抵は口元も戻ります。
しかし、暫く外していたとか死後硬直してしまった場合は入れ歯が合わないし無理矢理入れようとすると口の中を傷つけてしまいます。

この場合は脱脂綿で入れ歯の代わりを作ります。
入れ歯の形に似せて脱脂綿を固く丸めて入れ歯みたいに作ります。

少し難易度が高いですが、器用な人なら出来ると思います。

特別な物は要りません。脱脂綿を入れる時に口を開けるために木で出来た、アイスクリームの使い捨てのスプーンを使います。

風邪をひいた時に内科で喉を診る時に使いますよね。
使い捨ての長い木のスプーンみたいなの。
舌を押さえる『舌圧子』と言いますが。

まあ、アイスクリーム売り場に似たようなスプーンがありますよね?
コンビニでハー〇ン〇ッツを買うと、よく貰える。

それでいいんです。
脱脂綿で仮の歯を作り、入れるだけですから。
あとは、形を整えてあげれば大丈夫ですよ。

ここまでの内容でしたら、ご家族でも対応できると思います。

最後に、お時間があるようでしたら是非とも見て欲しいYouTube動画をご紹介いたします。
東京で葬儀社を営む佐藤葬祭代表の佐藤さんのYouTube。
もう8年前からコツコツと葬儀に役立つ情報を発信していて、時々テレビや雑誌のコラムも書いておられます。
とても、研究や勉強熱心な一級葬祭デレクターさんです。

私が最初に死化粧を習った先生のお弟子さんでもあります。