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ご遺体のお医者さん

2019.08.5 事例

棺に入らなかったレトリーバー

こんにちは、遺体感染管理士のエンゼル佐藤です。

この仕事を始めて間もない頃でした。
知人の飼っていたレトリーバーのサンタ君が亡くなった際に

「口が閉じなくて困った」
「足が硬直して段ボールの棺に入らない」

そんな相談がありました。

まず、サンタ君は16歳のレトリーバーです。
家族に愛されて、幸せに暮らしていました。

しかし、16歳になった頃から衰弱が進み
亡くなる半年前から寝たきりで過ごしていました。

死因は老衰でしたが、亡くなった後に口が開いたままで手足が死後硬直してしまい段ボールの棺に入らないなど困った事になり、知人の私に電話相談してきました。

まずは、開いた口は飛び出していた舌を喉の奥に戻して元の位置に戻して閉じる事ができました。

死後硬直については、関節を熱い蒸しタオルで温めてマッサージすることで曲げて棺に納める事ができました。
そもそも、死後硬直メカニズムは筋肉の硬直ではなく筋肉の中の血管の血液が固まる事で起きるのです。

それが死後変化という腐敗現象によって融解(ゆうかい)すると解けるのです。
ですから、関節が曲がらなくて困った時は熱で血液の融解を起こし、曲げる事が可能になります。
しかし、身体を冷やさないと全身までが腐敗してしまうのでお腹を重点にドライアイスや氷で冷却をします。

お魚はお腹から傷む様に哺乳類も同様にお腹から腐敗が始まります。
お腹には腸がありその中には腐敗菌や分解酵素があるからです。
腐敗を止める温度は5度以下になります。
それ以下に下げれば腐敗を抑える事ができるのです。

箱に入れてドライアイスを使えば二酸化炭素が菌の活動を止めるのでより効果的になります。
毛並みが気になるのでしたらドラッグストアで売っているリンスインのドライシャンプーを使うと毛艶が出たりします。

また、友人の愛猫が野鼠(やそ)駆除の毒薬を舐めて死んでしまった時は口や鼻から出血し目が開いたままでした。
苦しそうな表情も綺麗に清拭して目を閉じて口も閉じると穏やかな表情に戻るのです。
生き返らすことはできませんが穏やかに眠った表情にはできるのです。

構造上の問題でしょう。
猫ちゃんは目をひらいたままの子が多く見られます。
ワンちゃんより目が頭蓋骨に比べて大きいからでしょうね。
目が開く原因は目の乾燥の事が多いので慌てずに目薬を差してみてください。
それだけで閉じる事が多いのです。

家族でできる事は意外にあるのです。
諦めないでくださいね。

私は普段は人専門ですが自分でも犬や猫を飼った経験があります。
現在は猫5匹の世話をする日々です。
看取った子もいます。
自分で目を閉じてあげた事もあります。

送る事は辛いですが、それが飼い主の責任だと思いますよ。
時にはペットの看取りの際の困り事の相談もお受けしています。
2021年に終末期ケア専門士の資格なども習得しました。
対人用ですが、それも何かのお役に立つことがあると思っています。

ペットも多様化で爬虫類とかもいるでしょうね。
母の友人にはボールパイソンのマッコイの飼い主さんもいます。
分からない事は一緒に考えましょう。

きっと大丈夫。

エンゼル佐藤の飼育履歴

犬・猫・金魚・亀・ハムスター・シマリス・ウサギ
シマヘビ・緑亀・文鳥・フクロウ・雀・ハクビシン
サンショウウオ・トンビ