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遺体修復士の備忘録

2019.08.12 終焉の場での豆知識

【看取り体験記】舅のエンゼルケアを家族として、遺体修復士としておこなった日

こんにちは。遺体感染管理士・遺体修復士のエンゼル佐藤です。

今日は、私自身が家族として経験した「看取りとエンゼルケア」について、
ひとつの体験記として綴ってみたいと思います。


舅(夫の父)の看取りで感じたこと

数年前、夫の父(私にとっての舅)が、慢性心不全で亡くなりました。
私は、看護師として、そして遺体修復士としての知識と技術をもって、
エンゼルケア・メイク・衣類の着せ替えを自らおこないました。

舅の最期の顔を見届け、整えられたことは、家族として何よりの供養だったと感じています。


現場の驚きと専門性のギャップ

現在の看護師カリキュラムには、残念ながらエンゼルケアの技術や死後処置の美容的要素はほとんど含まれていません。

その日も、夜勤の看護師さんが処置の様子を見に来られたのですが、
「こんなこと、見たことがない」と驚きの声をあげておられました。

遺体修復の観点から見れば、ごく基本的な処置なのですが、
一般の医療現場ではまだまだ認知されていない現実もあります。


死後の変化に合わせたカバーメイク

舅は闘病中に併発した胆のう炎の影響で、死後に軽度の黄疸が出ていました。
そのため、顔色は少し黄色味を帯び、不健康に見える状態でした。

私は、肌の保湿をしっかりおこなった上で、
黄疸を和らげる色補正のカバーメイクを施しました。
使用したのは、保湿成分を含んだ色付きのケアクリームと、ごくわずかな補正カラーです。


「まるで寝ているみたい」――家族と弔問客の声

葬儀の際、駆けつけた私の息子(舅にとっての孫)が、
おじいちゃんの顔を見て、涙ぐみながら言いました。

「爺ちゃん、まるで寝ているみたいだ……!」

また、弔問に来られた方々からも、次々と驚きの声が上がりました。

「亡くなったなんて信じられない」
「こんな綺麗な仏さん、見たことないです」
「穏やかで、まるで生きているよう」

普段、葬儀の現場に多く立ち会っている私でさえ、
これほど感動の声が集まったのは初めての経験でした。


専門性を、あたたかさへと還元する

医療・看護・遺体修復――
それぞれの専門性が、大切な人を送る“心のケア”に繋がることを、私はこの経験から強く実感しました。

知識と技術があったからこそできたこと。
そして、それを家族として直接届けられたことは、
何にも代えがたい経験でした。


最後に

看取りは人生の最終章であり、エンゼルケアはその幕引きを美しく整える大切な時間です。
私はこれからも、「見送る人」と「見送られる人」、
どちらにも寄り添えるケアを届けていきたいと思っています。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。