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遺体修復士の備忘録

2019.09.21 終焉の場での豆知識

【専門家が解説】エンバーミングとは?費用・メリット・デメリットと注意点をわかりやすく解説

こんにちは、遺体修復士のエンゼル佐藤です。
皆さんは「エンバーミング」という言葉をご存知でしょうか?
あまり聞き慣れないかもしれませんが、女優の壇蜜さんが「エンバーマー」の資格を持っていることで、初めて知った方もいるかもしれません。

本記事では、エンバーミングの基本的な知識から、費用、メリット・デメリット、実際に注意すべきポイントまでを、専門家の視点からわかりやすく解説します。


エンバーミングとは?

エンバーミングとは、遺体を常温下でも腐敗しにくい状態に保つための処置のことです。
生前と変わらぬような穏やかな姿に整えると同時に、衛生面にも配慮されるため、触れることも可能になります。

処置には専門の技術と設備が必要で、欧米諸国では一般的ですが、日本での認知度や実施率はまだ低く、普及率は2〜3%程度とされています(2023年時点の関係者の話による)。


エンバーミングが必要なケース

日本では火葬が一般的(約99%)であるため、必ずしもエンバーミングが必要というわけではありません。
しかし、次のようなケースでは有効・または必要とされます:

  • 葬儀までに日数が空く場合
  • 遺体に損傷がある場合
  • 海外への遺体の移送(国際空輸)を行う場合

特に国際空輸の場合、エンバーミングは多くの国で法律により義務付けられています。感染症や衛生上の理由から、避けて通れない処置です。


エンバーミングのメリット

1. 冷却設備が不要

通常、遺体を保存するには冷却が必要ですが、エンバーミング処置によってそれが不要になります。

2. 仕上がりが美しい

「まるで眠っているようだ」と言われるほど、美しく自然な表情になります。

3. 長期間の安置が可能

適切な管理をすれば、葬儀まで数日間にわたり保存が可能です。

4. 衛生的で安全

感染症リスクが軽減され、ご遺族が安心してお別れできます。


エンバーミングのデメリットと実際の声

一方で、以下のような懸念点もあります。

1. 費用が高い

一般的に20~30万円前後の費用がかかります(遺体の状態や地域により変動あり)。

2. 処置期間中は対面できないことが多い

遺体は一旦専門施設へ搬送されるため、通夜まで会えないというケースもあります。

3. ご遺族による準備ができない

旅支度(納棺準備)などをご家族で行いたい場合、エンバーミングの過程で機会を失う可能性があります。

4. 説明不足による不満の声

エンバーミングの内容や必要性が十分に説明されないまま依頼することで、後々「別人のようだった」「なぜ必要だったのか疑問が残る」などの声も少なくありません。


エンバーミングを勧められたら確認すべきポイント

突然の葬儀では、精神的にも時間的にも余裕がありません。しかし、エンバーミングを勧められた場合は、以下の点をしっかり確認しましょう:

  • なぜエンバーミングが必要なのか?(遺体の状態、葬儀日程など)
  • 費用はどれくらいか?
  • いつまで遺体に会えないのか?
  • 実際にどのような処置が行われるのか?
  • 明細はあるか?「一式」の表記だけでなく、内訳を確認しましょう

これらの質問に明確に答えられない葬儀社であれば、慎重に判断すべきです。
遺族にとって大切な別れの時間が、後悔に変わってしまわないように。


遺族の「知る権利」と納得のいく選択を

葬儀やエンバーミングは、「サービス」であると同時に、「人生の最後を彩る大切な儀式」でもあります。
ご遺族が納得し、安心してお別れできる環境を整えることが最も重要です。

たとえ説明が難しい専門的な内容であっても、分かりやすく伝える努力が必要です。質問して怒るような業者であれば、その対応に疑問を持って当然です。


まとめ|後悔しないために、正しい知識を

エンバーミングは、非常に有意義な処置である一方で、理解が不十分なまま勧められることがトラブルの原因になることもあります。

  • 必要性と費用、内容をしっかり確認する
  • 疑問には遠慮なく質問する
  • 明確な答えが得られない場合は、別の選択肢も検討する

大切な人との最期の時間に後悔が残らないように、情報を正しく知ることが大切です。